ウルトラQ dark fantasy 総括
なんとなくチャンスを逸してここでインプレッションを書いていなかった「ウルトラQ dark fantasy」であるが、ついに2クールの最終回を迎えた。深夜帯でひっそりとオンエアされた感のあるシリーズだが、「ウルトラQ」というタイトルを冠するテレビシリーズは、オリジナル以来初めてのこと。刮目してオンエアを待っていたわけです、半年前には。
そしてついにシリーズが始まったわけだが、毎回バラエティに富んだ内容で、なかなか楽しむことができた。が、一方でちょっと疑問も…。はたしてこれは、ウルトラQなのか?ウルトラQたるハードルは越えているのか?
オリジナルを愛したファンとしては、ひとつ、毎回のアンバランスゾーンに巻き込まれる人間達のドラマを楽しみにしていた。dark fantasyでは、メイントライアングルに袴田吉彦、遠藤久美子、草刈正雄そしてナレーターに佐野史郎という魅力的なキャスティング。オリジナルシリーズ同様に、この3人が常に出ると言うわけではないんだが、持ち回りで。と、いう構成。で、MAX的には大きなポイントと思うのは、やはり怪獣という要素。ほぼ毎週画面に現れる怪獣に心ときめかしたものだが、このdark fantasyではそれはかなわなかったねぇ。まぁ、この時間帯だし、dark fantasyというタイトルもあるし。残念なところで。とはいえ、ガラゴン、ウニトローダ、カネゴンヌ、レキューム人といったキャラクターには楽しませてもらった。
MAX的に心に残ったエピソードとしては、まずは「楽園行き」。佐野史郎氏をゲストに迎え、面白いテイストの作品。「綺亞羅」は小中千昭・金子修介コンビの作品。野村宏伸氏の演技はさすがですな。そして綺亞羅役の中村有沙という少女の危うい可憐さとエロシティズムがたまらない作品。「李里依とリリー」はもちろんあのオリジナルへのオマージュというべきであろう。少女が二重化して行く怖さはこの作品でも充分に描かれていたが、あのモノクロの怖さにはかなわなかったか。「レンズ越しの恋」はハートウォーミングなラブストーリー。こういうのもたまには良いか。そして、「ヒトガタ」、「闇」の2作品は素晴らしかった。小中千昭・実相寺昭雄コンビのこの2作品。「ヒトガタ」は「青い血の女」をも髣髴とさせる生きているモノに取り付かれた男のストーリー。ヒトガタにとり憑かれて破滅して行く過程の恐ろしさよ。「闇」は番組の撮影現場で起きる怪奇談。だが、そこは小中脚本らしく、闇を暴こうとした男によって引き起こされる恐怖のが語られる。
全体を通してみると、ウルトラQというタイトルに対してMAXが持つイメージからは微妙にずれていたシリーズであったかもしれない。MAXの特撮の師匠は、このシリーズを「『世にも奇妙な物語』とどう違うんだ」と言っていたが、それもまた否めないところもある。
とはいえ、こういうシリーズをテレビで2クールオンエアし続けたこと、円谷ブランドの作品が続いていること。こういった面でも非常に意義のあるシリーズであった。
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