怪奇事件特捜チーム S・R・I 「嗤う火だるま男」

人知れず、ひっそりとオンエアされておりました、怪奇大作戦のリメイク。いや、リメイクじゃないな、続編です。
あれから35年。SRIは数々の怪奇な事件を解決し、いまでは10ヶ国に進出するほどに。的矢初代所長も写真で出演おりました。現在は寺田農演じる山本所長の下、ふたりの捜査員、沢村一樹演じる郷田健と緒川たまき演じる片桐すずが怪奇事件の解決に日夜活躍している。という設定。この緒川たまきがいいですなぁ。知的でセクシーで。スーツが似合いますな、とても。そのスーツ姿がたまらなくいいです。こういうコンビって「Xファイル」然り「BLACK OUT」然りなんですが、緒川たまきのハマり方はダントツかもしれんです。それに、コンピュータシステムのいわゆるコンパニオン、CGキャラのSR1(ワン)くんも忘れちゃいけません。すずが現場から送ってくるデータを元にアナライズしたりデータベース照会したりと、便利なヤツ。
さて、彼らが今回挑むのは、火だるま髑髏の幽霊出現という怪奇事件である。。


SRIはあの35年前の時と捜査のスタンスは変わっていない。現場に赴き、丹念に科学調査を行なう。そこに残された、わずかな犯罪の痕跡から冷静に事件を追う。っていうのがやはりいいですなぁ。そのあたりはキャストは大きく変わっていながらも、上原正三氏の脚本が“怪奇大作戦らしさ”みたいなものをハズさずにきっちりと描いていくれる。
火だるま髑髏の幽霊という多少のレトロ感もある怪奇現象が、実は科学の力を使って起こされた犯罪であり、しかもその背景には人間の心の襞、あるいは闇に取り込まれた心がある。科学によって引き起こされ、科学によって解決された事件。しかし、その事件を起こす人間の心は、科学では決して解明できない部分なのだ。
この火だるま髑髏事件も、悲しい心が起こしたもの。そして、その結末もまたハッピーエンドではない。SRIの科学の力をもってしても踏み込めない部分がある。それをこの「怪奇大作戦」では訴えんとしているのであろう。
脚本、上原正三。監督、服部光則氏。キャストは前述の通り。SRIのメンバーが3人だけというのはちょっとさびしいところだが、パイロット版だけにそのあたりはしかたのないところか。火だるま髑髏の描写などは、押さえ気味のCGが良い効果をあげていた。また、宮川“数学”一郎太氏の好演も光るところ。これをシリーズで見たいものだなぁ、ぜひとも。
オンエア後の、円谷粲氏、実相寺昭雄氏、上原正三氏の対談も興味深く。あぁ、この人たち、好きなのだなぁと、改めて認識を強く持ったわけです。