仮面ライダーファイズ 「第8話」
「夢」ねぇ。40過ぎのおじさんにはなんとも青臭くってさ。というよりも、そういうことを口に出して語っちゃうところがどうも気恥ずかしかったりするんだな。だから、「もう夢も希望もないからねぇ」なんで呟いてみたりする。「夢」を臆面もなく語るというのは、やはり若さの特権だと思うのだよ。
ファイズの登場人物たちも若く、大きな夢を抱く者もいる。が、その夢は時に人を強くも弱くもするもの。夢を持つと、時々すごく切なくて、時々すごく熱くなれる、という者もあり。そして、夢というのは、呪いと同じであり、途中で挫折した物はずっと呪われたままなのだ、という者もあり。この「夢」に翻弄されつづけて、人は生きていくのだろう、きっと。
直也の「夢」は人によって故意に壊された。それが故に、彼は呪われ続ける。人を恨み続ける。自分が果たせなかった夢が呪縛となる。強い夢を抱けば抱くほど、その反動は大きい。オルフェノクの力を得た直也は、今こそその恨みを晴らすときと考える。だが、彼にはまだ人の心が残っている。それに気付かせてくれたのは和彦。
真理もまた、その美容師という夢を叶えたいのだ。しかし、その夢への道はなかなかに険しい。挫折も当然ある。それを乗り越えるには、自分の力と人の思いやりが必要なのだ。そんな真理の夢を壊さんとする者がいる。ひっそりと彼女に忍び寄るスカラベオルフェノク。ファイズギアが、そして彼女自身の出自を狙わんとする。
巧は、自分は夢を持っていないといって憚らない。しかし、バカというか一途というかそんな健太郎や、自分を信じて頑張る真理を見て、多少は変わってきたのだろうか。「夢を持つとな、時々すっごい切なくなるが、時々すっごい熱くなる…らしいぜ。俺には夢がない。でもなあ、夢を守ることはできる。変身っ!」このセリフにしびれたぜ。“夢を守る”っていう行為自体が、実はそれがとても大きな夢になってるんだと思うが、巧はそのことに気がついていない。
勇治は直也の夢を壊した男を許すことができなかった。その男がオルフェノクであるからこそ、だろう。「夢っていうのは、呪いと同じなんだ。途中で挫折した物は、ずっと呪われたまま…らしい。あなたの罪は重い!」この勇治のセリフにもしびれた。
今回は、このふたりのセリフに尽きる。夢を持たない男たちが夢を守る。これだね。そして、戦いを続ける二人のBGMは直也の弾くギターの調べ。今回の結花ちゃんはすごく良かった。直也の気持ちを思いやる彼女。ギターを、最後のギターを弾く直也。
ファイズのピンチに駆けつけるオートバジン。しかしマシンガンの乱射に起こる巧。そりゃ危ないわな、当たるもん。でも、蹴り入れちゃイカンでしょ、ロボットに(笑)。そして、今回の必殺技も新しいねぇ。次から次へと新技が出てきますな。カッコいいっすね。
ギターを窓から投げ捨てる直也。地面に落ちて壊れるギター。彼の夢も壊れた。しかし、これで彼にかかっていた呪縛も解き放たれたのだろうか。オルフェノクとして彼らはどう生きていくのか。
とにかく、今回は非常によかった。ドラマとしてのクオリティが高いよね。こういう番組をあの時間帯にオンエアしてるのは、ちょっともったいないかもしれない。
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