ダゴン
ラブクラフトものでございます。
過去、幾度とラブクラフト原作の作品が制作されたが、これは!と思うものに出遭ったことはほとんどない。例外のひとつとして挙げられるのが佐野史郎&小中千昭の「インスマウスを覆う影」だろう。その同じラブクラフトの「インスマウスを覆う影」をベースにしたのがこの「ダゴン」である。何故タイトルは「ダゴン」なのか、ちと謎ではあるが。
インスマウスをスペインのインボッカという漁村に翻案しているが、ほぼストーリーの主な部分は「インスマウスを覆う影」。確かにインスマウスの重苦しい陰鬱な描写はうまく映像化されている。ほぼ全編で降り続いている雨も嫌な感じ。プラスアルファで、多少のスプラッタ的なシーンとエロティックなシーンが追加されててますな。ダゴン秘密教団の巫女?みたいなウクシア。この娘がなんとも妖艶である。主人公のポールがずっと夢で見ていた人魚であり、また彼女もポールを夢で見て待ち焦がれていたと。まぁこのあたりで「インスマウスを覆う影」を読んでいれば、オチがわかってしまうのだけれど。で、彼女ウクシアの下半身がバケモノなんだよねー。蛸系ですわ。ぬるぬるしてて。父親なんかはモロにクトゥルー顔のモンスターだしね。ウクシアの場合は上半身が綺麗(もちろん、裸身も披露ね)なだけに、MAXのような異形のものを愛する人種にとってはなんともたまらんです。
雰囲気的にはなかなか頑張ってるんだけど、いかんせんB級の匂いプンプンで。ま、スチュアート・ゴードンだからね。しょうがないというか、逆にさすがというか。
ラスト、自分がインボッカの子孫であることを知り、焼身自殺を図るが死にきれず、海に沈むポール。そのポールとともにダゴンの神殿に楽しげに泳いでいくウクシア。過去も現在も未来もないという永遠の命。これを羨ましいと、ハッピーエンドであると思わない者がいるだろうか。たとえ、その体が人間のものではない異形のものに変わっていくとしても…。
—
「DAGON」 01 米・西 監督:スチュアート・ゴードン CAST:アクシア・ブランコ、エズラ・ゴッデン、ヨス・リファンテ、ラクウェル・メローノ、フランシスコ・ラバル 他
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません